レクイエム(Requiem)    第56回目の公演      2006年7月8日(土)


音楽 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
   レクイエム KV 626
グレゴリオ聖歌
振付
舞台美術
音楽
ジョン・ノイマイヤー
指揮 フロリアン・Csizmadia ソプラノ
アルト
テノール
バス
Ha Young Lee
Yvi Jaenicke
クリストフ・ゲンツ
ティグラン・マルティロシアン
オーケストラ フィルハーモニカー・ハンブルク 合唱 Chor der Staatsoper Hamburg
テープ演奏 Choralschola der Wiener Hofburgkapelle  指揮:Pater Dr. Hubert Dopf(グレゴリオ聖歌)

ダンサー
シルヴィア・アッツォーニ、アーニャ・ベーレント、オデット・ボーヒェルト、エレーヌ・ブシェー、ジョエル・ブーローニュ、
ジョージーナ・ブロードハースト、ラウラ・カッツァニガ、クリステル・チェンネレッリ、フィリパ・クック、
ゲイレン・ジョンストン、へザー・ユルゲンセン、ステラ・カナトゥーリ、イリーナ・クロウグリコヴァ、
アンナ・ラウデール、大石裕香、アンナ・ポリカルポヴァ、アンナ・Rabsztyn、リサ・トッド、
ミリアナ・Vracaric、マリアナ・ザナットー、ディナ・ツァリポヴァ

ジョゼフ・エイトキン、アントン・アレクサンドロフ、シルヴァーノ・バロン、ステファン・ボウゴン、ティアゴ・ボーディン、
イリ・ブベニチェク、オットー・ブベニチェク、アントナン・コメシュタッツ、ウラディミル・ハイリアン、カーステン・ユング、
ヤロスラフ・イヴァネンコ、アルセン・メグラビアン、ステファノ・パルミジャーノ、アレクサンドル・リアブコ、
ロイド・リギンズ、ヨハン・ステグリ、コンスタンティン・ツェリコフ、キラン・ウェスト

グレゴリオ聖歌のダンサー
服部有吉
オーカン・ダン、ピーター・ディングル、エミル・ファスートディノフ、
草野洋介、パーシヴァル・パークス、エドウィン・レヴァツォフ
フロレンシア・チネラート


Antiphon ad Introitum - Requiem aeternam
Kyrie(キリエ、グレゴリオ聖歌)


服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Introitus(入祭唱、モーツァルト)
Kyrie(キリエ、モーツァルト)


アッツォーニ、ブーローニュ、カッツァニガ、ユルゲンセン、ポリカルポヴァ
J. ブベニチェク、O. ブベニチェク、リギンズ
ベーレント、ボーヒェルト、ブシェー、ブロードハースト、チェンネレッリ、クック、カナトゥーリ、クロウグリコヴァ、
ラウデール、大石、Rabsztyn、トッド、Vracaric、ザナットー、ツァリポヴァ
エイトキン、アレクサンドロフ、バロン、ボーディン、ボウゴン、コメスタッツ、イヴァネンコ、ユング、メグラビアン、
パルミジャーノ、リアブコ、ステグリ、ツェリコフ


Graduale - Requiem aeternam
Tractus - Absolve Domine (グレゴリオ聖歌)


服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Dies irae(モーツァルト)

アンサンブル


Tuba mirum
Rex Tremendae (モーツァルト)


J. ブベニチェク - ポリカルポヴァ、カッツァニガ、ブーローニュ
O. ブベニチェク、リギンズ


Recordare(モーツァルト)

ブーローニュ、J. ブベニチェク
ポリカルポヴァ、リギンズ
カッツァニガ、O. ブベニチェク


Confutatis(モーツァルト)

ユルゲンセン
アッツォーニ、カッツァニガ、ブーローニュ、ポリカルポヴァ、ブシェー、カナトゥーリ
ボーディン、J. ブベニチェク、O. ブベニチェク、イヴァネンコ、ユング、リギンズ


Lacrimosa(モーツァルト)

ユルゲンセン、リギンズ
アッツォーニ、ブシェー、ブーローニュ、カッツァニガ、カナトゥーリ、ポリカルポヴァ
ボーディン、J. ブベニチェク、O. ブベニチェク、イヴァネンコ、ユング


Stille

ブーローニュ、ディングル


Antiphonae ad Offertorium - Domine Jese, Quam olim Abrahae
Hostias, Quam olim Abrahae(グレゴリオ聖歌)


チネラート
服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Domine Jesu, Quam olim Abrahae(モーツァルト)

エイトキン、アレクサンドロフ、ボーディン、コメスタッツ、イヴァネンコ、メグラビアン、パルミジャーノ、リアブコ、ステグリ


Hostias, Quam olim Abrahae(モーツァルト)

ベーレント、ブシェー、チェンネレッリ、クック、ジョンストン、クロウグリコヴァ、ラウデール、
トッド、Vracanic、ザナットー、ツァリポヴァ
エイトキン、アレクサンドロフ、コメスタッツ、メグラビアン、パルミジャーノ、リアブコ、ステグリ

アッツォーニ、ブシェー、ブーローニュ、カッツァニガ、ユルゲンセン、カナトゥーリ、ポリカルポヴァ
ボーディン、J. ブベニチェク、O. ブベニチェク、イヴァネンコ、ユング、リギンズ

 
Sanctus und Benedictus(グレゴリオ聖歌)

チネラート
服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Sanctus und Osanna(モーツァルト)

ユルゲンセン - リギンズ、ブーローニュ - J. ブベニチェク、ブシェー - ボーディン
カッツァニガ - ユング、カナトゥーリ - イヴァネンコ、アッツォーニ - リアブコ

チネラート
服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Benedictus und Osanna(モーツァルト)

ポリカルポヴァ、O. ブベニチェク
ソリストたち


Pater noster
Agnus Dei
Ad communionem - Lux aeterna(グレゴリア聖歌)


チネラート
服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ


Agnus Dei(アニュス・デイ、神の子羊、モーツァルト)

J. ブベニチェク


Communio
Lux aeterna
(モーツァルト)

アンサンブル


Abschluss - Requiem aeternam
In paradisum
Chorus angelorum(グレゴリオ聖歌)


服部 - ダン、ディングル、ファスートディノフ、クサノ、パークス、レヴァツォフ
O. ブベニチェク
アンサンブル


1994、5年時に観た時と随分違う印象を受けました。いろいろ変更があったのではないかしら、と公演終了後HやYと話していて、数人のダンサーの人たちに尋ねたのですが、古いヴァージョンを知らないようでしたので(もう10年以上前ですものね)、ここは踊った本人に聞くのが一番と思い、ガマル・グーダに尋ねました。ちょうど彼はターゲに来ていて、それまでにも2、3度姿を見かけていたのでした(普通ですと話しかけるなんて、と思ってしまうのですが、心に芽生えた疑問を解消するためですもの、すすっすーと足が彼のほうへ向かっていったのです)。
まずは、“あなたのファンで・・・”、と話したあとで、“今回のレクイエムはあなたが踊った時と違う印象を受けたので、いくつか変更があったように思うのですが・・・”、と尋ねると、“ええ、少し違っています”とのことでしたので、“あなたのソロの部分も変わったように思うのですが・・・”、とさらに尋ねると、やはり“変わっていますよ”とのことでした。そこで彼の携帯が鳴って、私は友人のところに戻って、“レクイエム”についていろいろ話していましたら、彼がやって来て、“先ほどは携帯が鳴って話を中断してすみませんでした”と、わざわざ断りを言ってくれたのです。わたしたち3人は、“ガマルってなんていい人なの!”って・・・。
すこしファン・モードが強いかな。

それで、日本に戻ってから、昔のキャスト表と比較しましたら、各曲についてのダンサーの振り分けはConfutatisとモーツァルトのSantus und Osannaの僅かな違いを除けばすべて同じでした。ノイマイヤーのことですからダンサーによって振付を変えていることもあるでしょうし、ダンサーの個性によって違って観えたこともあるでしょう。そして時間が私たちの記憶から多くの情報を持ち去ってもいるでしょう。

レクイエムは観るのに辛い作品です。人々は苦しみや哀しみに囚われていて、そこには救いがないように思えるからです。モーツァルトの音楽、グレゴリオ聖歌はとても美しくて、その美しさがさらに苦悩や哀しみを増幅させます。
グレゴリオ聖歌を踊る天使たちは、静謐で、そこでは時間が止まり、感情の入り込む余地のない全くの透徹した世界を呼び起こします。ただ私にとっては、それが本当に救いなるのかどうなのかよくわからないところがあります。
(この項続く)
(S)